パーツに気づくと心はラクになる
― Internal Family Systems(内的家族療法)の視点から ―
私たちは、心の中に起きていることを「自分そのもの」だと思ってしまいます。
「私はダメだ」「私は弱い」「どうしてこんなに不安なんだろう」。
そんなふうに感じるとき、まるで自分全体が問題のように思えてしまい、ますます苦しくなります。
けれども、Internal Family Systems(内的家族療法)では、心は一枚岩ではなく、
いくつもの「パーツ(部分)」からできていると考えます。
たとえば
・失敗しないように頑張らせるパーツ
・傷つかないように警戒するパーツ
・もう疲れたと休みたがるパーツ
・自分を厳しく責めるパーツ
私たちの中には、このようなさまざまな声や感情が同時に存在しています。
心がつらいとき、多くの場合は「どれかのパーツに強く飲み込まれている状態」です。
たとえば自己批判の声が強くなると、「自分は価値がない」という感覚が心全体を覆ってしまいます。
ここで大切なのが、「これは私の中のパーツなんだ」と気づくことです。
「私はダメだ」ではなく
「私の中の“厳しく責めるパーツ”がそう言っているんだな」と少し距離をとって見てみる。
すると、不思議なことに心の圧迫感が少しゆるみます。
問題と自分が完全に重なっていた状態から、ほんの少し離れることができるからです。
さらにIFSでは、どのパーツも本当は「あなたを守ろう」として働いていると考えます。
不安のパーツは、危険を避けようとしているのかもしれません。
怒りのパーツは、傷つかないように守ろうとしているのかもしれません。
自己批判のパーツでさえ、「もっと良くならなければ」と必死に努力している可能性があります。
そう考えてみると、これまで「厄介なもの」「なくしたいもの」だと思っていた感情が、少し違って見えてくることがあります。
敵だと思っていたものが、実は一生懸命に役割を果たしていた存在だったと気づくと、心の中の緊張が少しずつほどけていきます。
私たちの心には、落ち着きや思いやり、好奇心を持った「中心の自分」があります。
パーツに気づき、それをやさしく見守ることができるとき、その落ち着いた自分が少しずつ現れてきます。
心の中の声をなくそうとしなくてもいい。
ただ「いま、どんなパーツがいるのだろう」と気づいてみる。
その小さな気づきが、心に静かな余白をつくり、私たちを少しラクにしてくれるのです。